【その4】希望条件項目別ひとくちアドバイス ”定期借家物件/禁煙住戸と喫煙住戸/SOHO可物件/方位・風水を元に引越しされる方/事業用賃貸物件”

定期借家物件

定期借家物件とは、主に期間限定契約物件の事を言います。
種類は2タイプあります。

ひとつは転勤等で不在中の期間だけ賃貸に貸し出す場合や、あらかじめ将来取り壊しなどの予定がある場合に、その期間まで貸し出す物件の事を言います。
年数も2年・3年・5年等と決められている為、最長の定められている期日が満了した場合は退室して明け渡す事が前提の契約です。途中更新はありません。
その分普通賃貸借物件よりは賃料が多少安い物件が多いと言えますが、転勤留守宅の場合住戸は禁煙物件が多くなります。
あらかじめ期間が決められていても、転勤が長引いたり取り壊しが先に延びたりして賃借期間を延長出来る場合もあります。
その場合は期間満了日の数ヵ月前に期間延長の再契約ができるかどうか?の相談をオーナー側として、新たな契約期間を取り決める事もあります。
その場合は再契約料(おおむね賃料1ヵ月分程度)を支払って再契約をします。
ただし大半の物件が最初に締結した期間で満了する為、再契約はごく一部の物件だけと付け加えておきます。

もうひとつのタイプは再契約型定期借家物件といって、普通賃貸同様、2~3年の期間が満了した場合は新たな契約期間を定めて再契約が出来る物件の事を言います。
この場合、普通賃貸契約物件とは違って自動更新にはなりません。
あくまでも期間満了日が来て、再契約が相談可能という物件ですので、入居中に賃料滞納があった場合や近隣トラブル等があった入居者は再契約を断られ、期間満了と同時に退室をしなければなりませんのであらかじめ覚えておいてください。
なお、再契約の際の費用は通常1ヵ月程度となります。
大手法人会社が借主の場合の定期借家物件は、借主側が定期借家契約を断る場合が多いです。法人契約希望の方は会社側担当部署と前もって定期借家物件可か?不可か?相談しておいてください。
 

禁煙住戸と喫煙住戸

最近多く見かける禁煙住戸物件ですが、マンション全体で実施している事が多くなりました。
理由としては受動喫煙という理由はあまり無く、単純に室内がヤニで汚れるのを嫌がるオーナーが増えたと言う事です。
以前は敷金2ヵ月分という契約条件が多かったのですが、近年は敷金1ヵ月が当たり前となってきております。
敷金1ヵ月分となると、喫煙者を入居させた場合、室内のクロス等が汚れたり臭いがエアコンなどに染みついたりして、退室する際に預かり敷金だけではルームクリーニングやクロスの貼替費用がまかなえなくなります。
ですので、退室者に後から追加分を請求する事になるのですが、後から請求をするとトラブルになる事が多く、その理由から敷金1ヵ月=(イコール)禁煙という住戸が増えてきました。

喫煙者の方のクリアポイントは、室内でたばこを吸うので敷金を2ヵ月にしてもらって、「退室時にクロスの貼替費用分は敷金から差し引いてください」と申し出ると、案外承諾してくれるオーナーさんは多いものです。
ただし共用部分はほとんどの住戸が禁煙です。喫煙マナーは守ってください。
 

SOHO可物件

近年都心部でよく見かけるSOHO物件。
要するに居住兼仕事場の両方を兼ねそろえた住戸です。
もちろん居住だけで住んでいる方もいらっしゃいますが、例えばデザイナーが仕事と寝泊りを併用したり、会計事務所や執筆業の方、IT関係の仕事をされている方には人気のタイプとなっております。

ただしひとつ入居条件で注意してもらいたいのは、人の出入や物品の搬入の多い完全なオフィスとしての入居は断られる場合があります。
もうひとつは、事務所名のプレートを出したり看板を出したりという事は一切できないと言う事です。
一般居住者も多く居る為、管理元付側がドアのネームプレートや窓ガラスにネームを貼る事をかなり厳しくチェックしております。事前に物件ごとに必ず確認してください。

分譲マンションでSOHO利用可の場合は1階の集合ポストでさえ会社のネームプレートを入れる事を断られる事も多いです。
SOHO利用可物件とは、あくまでもプライベート・オフィス空間兼用物件だという風に認識しておいてください。

すなわち店舗使用も一切不可です。
 

方位や風水を元に引っ越される方

よく占い師等に今年の吉方位は○○方向だから、そこへ引っ越すようにと言われて探しに来られる方がいます。
ですが、多くの方が認識を誤って探しに来られる方が多いです。
まず、方位は「年方位」・「月方位」・「日方位」と3タイプあります。
そして方位は旧暦を基準にしていると言う事です。旧暦で言うと、年明けは2月の節分頃になります。
要するに、新暦と違って1ヵ月以上ずれていると言う事です。
あと毎月吉方位は変わります。
占い師に言われて東が吉方位だと思っていて、引っ越したら実は月が替わっていて凶方位だったなんてザラにあるものです。(新暦と旧暦のズレ)

また最低移動距離も関係してきます。
たかが1キロ2キロ移動した位では何も変わりません。方位移動の基準は今の町から違う町や市へ、位の感覚です。
現在住んでいる場所よりも全然違う馴染みの無い町に引っ越す覚悟が要りますので、認識不足や方位等に不慣れな方にはあまり方位移動はおすすめ出来ないと思います。
元々ご本人の持って生まれた運気のバイオリズムの方が大事だと思われますので、どうしても方位移動をされたい方はよく参考書等で勉強される事をおすすめします。

風水家相などで引越しを希望されている方は更にハードルが高くなります。
必ず方位が付いてくるのと同時に、その期間内に風水の吉家相物件を探すという事です。
ここでも多くの方が誤った知識や認識で探しに来られる方が多いです。
要するに、風水の本質や深い意味を理解しないで、ただ占い師に言われた部分だけを信じて探しに来られる方が大半です。
まず前提で申しますと、風水で吉家相70%以上の物件はほとんどありません。
結論から言いますと、吉方位の土地を探してご自分で建てるしかないのです。
一般民間賃貸物件で合致する物件はほとんど無いと思います。
せめてポイント位の吉家相住宅レベルのお世話位のものです。そもそも期限内の方位もついて回ります。
要するに知れば知る程、がんじがらめの制約の中で物件を探す事となります。

そこへご自身の希望を入れた時に、果たして合致物件が見当たるかどうか?

もうひとつ言えることは、家族がいる場合、皆さん一人ずつの生年月日が違うように運気や吉方位も違うと言う事です。
ご主人にとって吉方位でも奥さんにとっては凶方位かもしれない?
例を挙げると、ご主人にとっては仕事も順調になり吉運になるかもしれませんが、奥さんにとって凶方位だった為に病気になったり、お子様が学校でのいじめやあらぬ方向へと進んでいったりと・・・。
それらをすべて含み入れいざ探すとなると「ドツボ」にはまります。

あと一つだけ専門的な事を書きますと、方位の基準点となる「北」方位には「真北」と「磁北」という2種類があります。
「真北」とは地図で言う北の方向を表すのに対し、「磁北」は北極点方向、いわば磁石の北を表します。この緯度には多少のズレがあります。
まして近年の地球のポールシフト現象により「磁北」が更にずれたと言われております。
要するに地図上の北と実際の北の方向が違うと言う事です。
すなわち風水や方位などで吉方向に引っ越したつもりがずれていて実は凶方位だった!?・・・・

部屋の中で磁石をかざして室内の磁北を見つけるのは簡単な事ですが、吉方位方向の地域での磁北を割り出すのはかなり難しいと言えるでしょう。
それらを含めたアドバイスとしては、各ご自身のバイオリズムは違うものです。
あまり方位や風水にとらわれた物件探しは、専門家でない限り控えておいた方が無難だと思われます。
 

事業用賃貸物件

ひとくちに事業用物件といってもさまざまな種類に分けられます。
まず店舗使用と事務所使用では契約内容が違ってきます。
オフィスワークを中心とする事務所契約は、基本的には室内も事務所仕様になっておりそこへご自身の費用でパーテーション等の工事をされている方が多いものです。
退室時は原状回復工事費用が預けてある保証金または敷金から差し引かれる方式となります。
退室時の解約届も2ヵ月前・3ヵ月前・6ヵ月前通告と物件によって異なります。
フリーアクセスフロアとかセキュリティや、セントラル空調、共用清掃維持等をしているハイクオリティなオフィス等の解約届は6カ月前位が通常パターンとなります。
なお、オフィス使用の場合、1階エントランス等に置き看板は基本的には出せませんのであらかじめ認知しておいてください。

店舗使用の場合は、不特定多数の方が常に出入りするいわば商売の原点となる場所です。
室内も基本的にはスケルトン渡し、退室時にもスケルトンにして返すのが一般的です。
造作を伴いますので、契約前に造作図面や設置看板の承認等の打ち合わせが大事です。
きちっと打ち合わせしないと開業してからトラブルの原因となったりしますので注意してください。
店舗使用というのは、物件自体もともとあるダクト・配管・給排水・電気設備等の仕様によってできない業種はかなりあります。
物販は出来ても飲食ができない物件はかなりあり、医院・美容院等の業種もガス等の配管が来てないビルは沢山あります。必ず使用可能業種を確認しておいてください。

なお、火気等を扱う飲食店舗等は都市計画法の住居専用地域では開業許可が下りませんのでご注意ください。
業種によって開業認可は用途地域によっての制限があります。
区役所や市町村で事前に確認される事をおすすめします。

店舗の解約届は3ヵ月前~6ヵ月前が通常です。
飲食店舗等では造作譲渡の希望をされる方が多いようですが、一般契約上では退室時スケルトン返しが原則となります。もし退室期限内までに造作譲渡を希望される場合は、事前にオーナーによく相談をして許可を貰ってからにしてください。
オーナーの許可を貰わずに造作譲渡をする事は契約違反となりますので覚えておいてください。
店舗の場合、24時間使用可能が一般的ですが、ビルのセキュリティ上営業時間制限がある物件もあります。

事務所にしても店舗にしても、すぐに物件が見つかる訳ではありません。
長い期間を要することはかなりあります。
開業希望の数ヵ月前から探されて物件が見つかった場合、工事期間との調整や、その間のフリーレント等の相談をオーナー側とよくされて、早めの契約をされる事をおすすめします。
許認可の問題とか様々な問題が次から次へと出てくるものです。
当初予定している期間より倍近い時間がかかる事はフタを開けてみるとザラにあります。
ゆとりのある物件探しをお勧めします。